日本人は働きすぎ?外国人は日本の残業についてどう思っている?

サムライや芸者、寿司とともに、過労死という物騒な言葉が、日本語と同じ「karoshi」として世界中に知られているのは、みなさんもご存知の通り。そもそも、過労死が「karoshi」として紹介された理由は、過労死が日本特有の現象だから。過労死という言葉が注目され始めたのは、日本がバブル真っ只中の80年代。当時、『24時間闘えますか?』というコマーシャルがあったぐらい、日本人は働きまくっていました。それ以降、日本の労働・残業に関する状況と条件は変わらず、それどころか年々悪化しているようでもあります。そこで今回は、Japan Todayというサイトのスレッドから、日本の残業について外国人がどのような印象を抱いているのかをご紹介したいと思います。

日本の企業5社に1社の社員は月に80時間以上残業している?

これは先日、厚生労働省が発表した統計結果です。調査は2015年12月から2016年1月に渡って行われ、1743社の企業に勤める19,583人の従業員の回答を基にしています。なんでも、23%にあたる企業で正社員が月に80時間以上の残業をしているのだそう。内訳は、11%が80から100時間の残業、12%が100時間以上の残業です。一日24時間しかないのに、その約半分にあたる12時間以上を会社で過ごしている計算になります。通勤時間に片道で1、2時間取られることを考えると、睡眠時間も十分に取れないことが容易に想像がつくのではないでしょうか?

Workers at 1 in 5 Japanese firms report over 80 hours overtime per month

このニュースについての海外の反応です。

Disllusionedさん

企業はなぜ社員がこんなに残業する必要があるか、真剣に調査するべき。人手不足なのか、仕事が出来ないのか?それとも、血も涙もない人使いの荒い経営者たちが、社員たちに残業をしなければクビにすると脅しているの?毎年似たような調査結果が報告されるけど、明らかに何も変わっていないよね。『white paper(政府の報告書)』と呼ばれているけど、本当に『白い紙(white paper)』って感じ。ただの紙同然!

M3M3M3さん

(こんなに残業してるのに)日本の時間当たりの生産性は、イタリアと同じ。しかも、スペインより低いときてる。これって、日本人が本質的に非生産的なのか、もしくは、残業はただの時間の無駄ってことじゃない?私は後者だと思うけど。

shallotsさん

どうしようもない現実だよ。反社会的で健全な社会とも言えない。日本の企業は倫理観に欠けるし、インモラルで自分勝手だ。それに加えて、会社の方針を作ってる人間は犯罪者同然。でも、日本では会社を訴えることも出来ない。企業が大切なのはお金だけ。会社が莫大な罰金を支払うことになったら、この問題は解決するのでは?もしくは、CEOが投獄されるとか。

smithin japanさん

これってただの報告書でしょ?日本政府は何をしてるわけ?何もしてないし!「夜8時までには仕事を終えましょう!」って言ったって、結局それも残業だし。こんなの日本だけ!

sf2kさん

国を相手取るレベルの訴訟もんだよ。

Bertlewoosterさん

日本のサラリーマンは、長時間働いてるけど、必死になって働いてるとは限らない。日本企業で働いたことがあるけど、ゆっくりしたペースでお茶を飲みながらおしゃべりしたり、やたら長時間に渡る会議をしたり。ストレスの原因は長時間勤務というより陰口やいじめ、しょうもない対抗意識だった。

Mocheakeさん

日本では残業は自慢できることなんだよ。「日本人は勤勉だ!」私たち外国人の大多数は、怠け者なのさ(でも、もっと生産的だけどね)。

Zed Phillipsさん

長時間に渡る残業にも関わらず、日本の労働者は先進国の中でも最も非生産的という事実。パワハラやストレスも酷いよ。

Tamaramaさん

もし私が日本の有権者で、日本政府がこの大問題に対して何の対策も取らないなら、私だったら怒り狂うわ。一体どういうこと!?救いようがないわ。

bullfighterさん

(残業について何も対策がなされないのは)日本だけじゃない。アメリカやイギリスのITや金融関係の企業は、長時間勤務と心身ともに及ぶ疲労で悪名高いよ。医療関係でも同じことが言える。アメリカの建設業界も酷いもんで、自殺率は他の業界と比較すると4倍にもなる。

samwattersさん

企業だけが問題なんじゃないよ。日本という国自体が強迫性障害を患ってるんだよ。日本では、みんな何時間も同じことをするのに時間を費やして、何の進歩もない。学校や会社の会議でも、去年と同じ結論を導き出すのにだらだらと時間をかける。スポーツチームは一日にこれ以上無理なぐらい練習を詰め込んでる。学校では運動会の練習に何週間も充てている。

anotherexpatさん

縦社会のせいで、みんな権力にはノーと言えないんだよね。そんなわけだから、因習も残っていて、確立された社会的模範がずっと続いている。日本政府は、サービス残業や仕事とプライベートの両立なんて存在しないに等しいことが、年々下がっていく出生率とは何の関係もないと思っているみたいだし。国民は企業の歯車にすぎないね。それでも不平を言わずに我慢出来る人間だけが、真の『大和民族』と認められるんだ。

McDeliciousさん

出世率が下がっているのは、このせいじゃない?

おわりに

著者は渡米前に10年日本で働いた経験があり、日本人の言い分も外国人の言い分も両方よく理解できます。ただ、アメリカで働いてみて気付いたことは、日本の職場ではやたら忙しく、やることが果てしなくあったということ。その理由を考えてみたところ、まず、明らかに人手不足があげられます。日本でのひとりの社員の仕事量は、実際には1.5人からふたり分に相当するのでは?と感じます。アメリカで同じように社員を働かせると、割に合わないという理由ですぐに辞めてしまうことが簡単に予測されます。次に、顧客に求められる業務内容が細かいこと。そして、自分と直接関係がない過失でも謝罪を求められること。丁寧なメールを書く必要があること(同じ内容でも英語でメールを書く方が速いと思いませんか?)など。

アメリカは残業に対してもシビアで、上司がなるべく部下に残業をさせないよう努力します。8時間労働を超過すると、上司が仕事を引き継ぐのは当然という企業も。そのために管理職は高い給料を貰っているという考えです。部下の残業時間が多いと、総務から注意を受けることもあります。それに、残業が普通に求められる職場環境を好ましくないと感じて、転職するアメリカ人は少なくありません。また、著者が暮らすカリフォルニア州では労働法が厳しく、サービス残業はもってのほかです。

そもそもキリスト教信者が多い欧米諸国では、『労働は神が与えた罰だ』という概念があるので、なるべく長時間働かずに人生を謳歌したい(そして、休暇は最優先事項!)と考える人が多くてもおかしくはありません。勤勉が美徳で、いまだに根性精神論をかざしてくる経営者や上司がいる日本とは根本的に考え方が異なります。アメリカで生活すると、食べ物やお風呂、言葉、日本に残してきた家族のこと、それにアメリカ自体の適当さがストレスになることもあります。しかし、労働条件や職場でのしがらみの少なさ、通勤時間の短さを考慮すると、アメリカで感じるストレスは日本にいたころの約半分。日本で働く人たちは間違いなく労働条件や残業に不満を感じているはずなのに、一向に状況が改善しないのは一体なぜなのか不思議でなりません。著者の目が黒いうちに果たして日本の労働環境が変わるのか、非常に興味があるところです。外国人のコメントの中には、少子化と残業の関連性などなかなか鋭い意見もあると思うのですが、みなさんはどう考えられますか?

参照:Japan Today : Workers at 1 in 5 Japanese firms report over 80 hours overtime per month

URL: https://www.japantoday.com/category/business/view/workers-at-1-in-5-japanese-firms-report-over-80-hours-overtime-per-month

photo by: https://www.pexels.com/

written by: Olivia

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