【日本とアメリカ比較】サービス精神にも国民性の違いが?

 

2020年のオリンピック誘致に成功した東京。滝沢クリステルさんのプレゼンで使われた『おもてなし』という言葉が大変話題になったのも、まだ皆さんの記憶に新しいはず。日本で生まれ育った人ならば、『おもてなし』が何かは当然すぐに分かると思います。しかし、この日本の『おもてなし』の精神は、世界中を見渡してみても、ちょっと特殊なようです。

 

おもてなしが普通に街にあふれている日本

『おもてなし』と同義の言葉は、外国語にもあります。例えば英語だと「hospitality」。しかし、日本の『おもてなし』とは、微妙に違うように思えます。五つ星と言われるホテルに宿泊すれば、最上級のサービスが期待出来ます。権力や名誉があるVIPと呼ばれる人たちは、他人から尊敬を持った態度でもてなされることは確かです。ただ、五つ星のホテルで最高のサービスを受けられるのは、あなたがそれなりの対価を支払っているからです。欧米のファーストフード店で、五つ星のホテルと同じサービスを求めるのは、お門違いと言うのはお分かりですよね?

 

ところが、日本は違いますね。『おもてなし』の精神が、社会に溢れています。例え、ひとつ百円の商品を売るファーストフード店であっても。星がひとつも付かない、ビジネスホテルでも、小さい旅館や民宿であっても。海外に長く住むと、緩い適当なサービスに慣れて(期待しないようになって?)しまいます。日本へ一時帰国する度に、細やかなサービス精神に逆カルチャーショックを受けるのが常です。デパートで買い物すれば、何重にも商品を包装してくれる上に、雨が降っていれば雨除けカバーまで付けてくれる。至れり尽くせりで、かゆいところに手が届くサービスのオンパード。言葉遣いも丁寧です。なんなら、接客態度があまりにも申し分なくて、こちらが恐縮してしまうぐらいです。

 

アメリカでの接客って、どうなの?

一方、海外はどうでしょう?たとえば、アメリカのスーパーでは、店員の態度は日本のそれと全く異なります。スーパーのレジで客と楽しく会話し、冗談まで言って、はっはっは…と大笑い。時々、『あの~、後ろにかなり客が並んでるんですけど』と心の中で思っても、店員はお構いなし。アメリカでのレジで、よく見られる風景です。さすがに、レジを打ちながら携帯でお喋りするのはどうかと思いますが(信じられないことに、お店によっては、そんな強者に遭遇することも…)。しかし、店員が客と楽しく話すのは、アメリカ人的にはアリです。後ろに並ぶ客は、文句のひとつも言わずに待っています。

 

フレンドリー過ぎるバスの運転手

次に、アメリカのバスの運転手。同じ路線の同じ時間帯にバスに乗るようになると、運転手が客と顔見知りになって、世間話を始めるのはよくあること。Mさんが、アリゾナ州の大学に留学していた時の話です。ある日、道を歩いていたら、クラクションが聞こえてきました。対向車線からいつものバスの運転手が、擦れ違いざまに手を振っているのが見えました。その運転手とは週に数回顔を合わせており、アジア人が少ない地域ということもあって、顔を覚えてくれていたのです。

 

アメリカ流のサービス精神とは?

日本の接客に慣れると、アメリカの接客が余りにも大雑把過ぎて、『真剣にやってんのか!?』と思うでしょう。しかし、これは文化の違い、サービスに対する考え方の違いです。日本では、スーパーのレジで、いかに迅速に商品をスキャンするかの点にサービスの価値を見出しています。客と無駄話なんか言語道断です。ましてや、携帯電話を使用するよな強者がいたら(いないと思いますが)、即クビでしょう。でも、アメリカのレジの担当者は、客と楽しく話をして客を良い気分にさせることが、良い接客と考えているのです。会計を早く済ませることだけが、サービスではないのです(もちろん、早いに越したことはありませんが)。彼らからすると、早いだけのサービスは、機械的で温かみがないのでしょう。

 

病院だって、サービス業?

アメリカでは、医療サービスを提供する医師や看護婦も同様です。アメリカの医師は、総じてフレンドリーです。初対面だと、まず握手。完全予約制のため、一人の患者に余裕をもって時間を割いているので、質問にも丁寧に答えてくれます。患者と雑談して、リラックスさせるのも仕事のうち。おかしな話ですが、毎回医師に会うのが、ちょっと楽しみになることも珍しくありません。日本だと、医師と言えば威厳があって、忙しそうで、くだらない話をしたら、怒られそうなイメージがありませんか?そう言う訳で、腕も確かで対応も申し分なしの、『You are the best!』と伝えたくなる医師にはアメリカで会ったと言う話も、周りでよく耳にします。

 

結局のところ、サービスって何だ?

ふたつの国の接客のあり方を分析すると、どちらがより良いのかは、一概に言い切ることは難しいです。どちらも正しくて、どちらも違っていません。もちろん、どちらが自分に合っている、どちらがより好きだという好みの問題があるのは確かです。引っ込み思案な人であれば、どこでも誰とでも初対面でもスモール・トークをするアメリカ方式は、精神的に負担かもしれません。しかし、慣れとは恐ろしいもので、アメリカ暮らしも長くなると、スモール・トークがないと物足りなくなりました。今後、海外に行く際には、何でも日本が一番!と決めつけず、その国のサービスを楽しむ精神で臨むと、より有意義な滞在期間になるのではないでしょうか?

 

photo by: https://www.pexels.com/

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