日本よりも大変かも?!アメリカの引っ越し事情

アメリカでは学校が夏休みに入る6月から新学期になる9月までの間が、引っ越しのピーク・シーズンです。実は、著者も現在引っ越しを検討中です。9月から家賃が200ドル(!)も値上がりするので、引っ越しを決意。毎日インターネットで物件検索中ですが、想像以上に骨が折れる作業です。そこで今回は、アメリカのアパート探しの実態をお伝えします。

最後は自分の足に頼るしかない

日本でアパートを探すとなると、町の不動産屋に出向いたり、アパマンショップやエイブルを頼ることになるかと思います。アメリカにも不動産屋はあり、real estate agencyと呼ばれています。どちらかというとアパートなんかの小さい箱ではなくて、一軒家やコンドミニアムを扱って仲介料を大きく稼いでいます。では、アパートはどうやって探すかというと、自分でインターネットで探すか、住みたいエリアに実際に足を運び、アパートの前に立てられている『For Rent(空き部屋あり)』のサインを探すことになります。これは!と思う物件があれば、アパートの大家かアパートの管理会社に電話で問い合わせをして、見学のアポイントを取り付けます。

一筋縄では行かない適当天国アメリカ

自分で探すのに何が煩わしいかというと、見学希望の電話を入れても、誰も電話に出ないこと。留守電になるのでメッセージを残しても、決して電話が掛かって来ないこと。運よく誰かが出て、「今、取り込み中なので後で掛け直します」と言うのに、待てど暮らせど電話がないことなど、例を挙げたらきりがありません。以前、他の記事でもご紹介しましたが、アメリカ人は『返事だけは』非常に良い人が多いでのす。先日も、「現在、会議中だから5分後に掛け直すわ!」と著者に言った担当者は、その後5分どころか5日経っても電話を寄越しません。すでに電話を切った時点で著者への電話は忘却の彼方に違いありません。もしそのアパートで暮らすことになったら、そのような適当な大家や管理会社の人間と日々やり取りする羽目になります。建設的に考えると、一回目の電話でマネージメントの善し悪しを振るいに掛けることが出来るとも言えます。

治安と家賃の切っても切れない関係

アメリカでは、治安の良さと家賃が直結しています。その方程式は本当に顕著です。治安が良い場所は家賃が高く、治安が悪い場所は家賃が安い。さらに、治安が良い場所は公立学校区のレベルも高く、治安が悪い場所はレベルが低い。しかも、治安の悪い地域に住むと、自動車保険が値上がりするという不可解な現象まで起きます。なぜなら、治安の悪い地域では自動車の盗難や車上荒らしが頻発するからだそう。自分に非がない上に、コントロール不可能というまったく不条理な話です。そんなわけで、子供の安全と教育を考慮する親は、治安の良い地域に住居を構えようとします。日本では全国津々浦々どこへ行っても、公立学校の設備の内容が大きく変わることはほとんどないと思います。しかし、アメリカの公立学校は市の税金で賄われていますから、治安が悪い地域では住人の所得も低くなり、徴収出来る税金も低くなり、挙句の果てには、公立学校に割く資金が少なくなるのです。信じられないことに、中には、トイレが壊れたままで修理の目途が立たずに放置されたままの学校もあるとか。

銀行と車と夜と

渡米したばかりの人は、物件探しには土地勘がないので注意が必要です。インターネットで手頃な家賃のアパートを見つけて、実際に足を運んでみるとビックリ!ということが珍しくありません。ロサンゼルスなどの大都市では、家賃が安いイコール治安がイマイチと思うのが無難です。物件を見学するさいには近所の治安の良し悪しを、銀行の様子や路上駐車している車でチェックするのは必須です。もし、銀行に警備員が複数いて(治安の良い場所には通常一人)、窓や扉に鉄格子があれば危険なサインです。路上やスーパーに駐車している車がボロいのが多いのも見逃せません。一ブロックどころか、道を一本挟んだだけで、治安が悪化するのがアメリカです。また、昼と夜では印象や治安がガラリと変わる場所もあるので、昼間に物件の見学に行っただけでは十分でないことも。

高騰し続ける家賃

著者が住む南カリフォルニアは、年中気候が良いことで知られています。そのせいか、家賃が高いのが頭痛の種です。良い天気に高い家賃を払っていると揶揄する人もいるぐらいです。著者が渡米した2005年では、治安が良い町の平均的な1ベッドルーム(リビング+寝室)の家賃の相場は900ドルから1300ドルぐらいでした(しかし、建物は古く築40年もまったく珍しくありません)。ところが、この10年で家賃が500ドルほども値上がりしています(みんなのお給料は、それに比例して上がっていないにも関わらず…)。2ベッドルームで、家賃が約2000ドル。日本で家賃20万であれば、そこそこの物件が借りられるのではないでしょうか?日本に住む友人に家賃の話をすると、「どんないいところに住んでるの?!」という反応が返って来ますが、実際は全然大したことがないのです。高級住宅地では、家賃が月10000ドルなっていう物件まであります。そんなに家賃を払えるなら、普通家を購入するのでは?と、不思議になりますね。ちなみに、私が住む地域の中古の3ベッドルームの一軒家は、ゆうに6千万円ぐらいします。私の友人は、豪邸ではない普通の家に、毎月の住宅ローンに3000ドルも払っているから驚きです。もし失業したら月に3000ドルもどうやって払うんだろう?と考えただけで恐ろしいですね。

いろいろな制限

著者が新しい引っ越し先を見つけるのに苦労している理由は、犬を飼っていることです。アメリカはペットフレンドリーに違いないと渡米前は勝手に思い込んでいましたが、大きな間違いでした。ペットを受け入れるアパートは少なく、pet depositという名の保証金とペット用家賃(1匹につき25ドル乗せなど)を払う必要が。もちろん、お金に糸目を付けなければ、いくらでもペット可能な物件はあります。禁煙者お断りのアパートが多いのもカリフォルニアならでは。入居希望者はapplication fee(40ドル前後)を自己負担することになり、経済状況や犯罪記録がないかを調べられます。ここでcredit historyと呼ばれるクレジットカードの使用状況をチェックされるので、アメリカで発行されたクレジットカードがないとアパートを借りるのにも苦戦を強いられるでしょう。

最後に

カリフォルニアは全米でも家賃や不動産が高い州です。しかし、他州では比較的合理的な価格で大きな庭付きの家に住むことも可能です。家賃が高過ぎるロサンゼルスですが、唯一日本よりマシな点は、車庫が家賃に含まれている物件が多いことと、アパートの部屋がそこそこ広いことぐらいでしょうか…。そして、引っ越しをするたびに思うことは、アメリカでは基本信じるのは自分自身で、自分で何でもこなす必要がある自己責任の国、ということなのでした。

photo by:http://www.freepik.com/
written by: Olilvia

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