夫婦別性どころじゃない!選択肢が多過ぎ アメリカの名字事情

最近日本で、夫婦別性の裁判についてのニュースが巷を賑わしているようですね。婚姻時の名字の選択に関する法律は、国によって異なるようです。そこで、アメリカの名字事情はどうなのか調べてみました。

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ア メリカでも婚姻時には、名字をどうするか決めなければならない点は、日本と変わりません。A子さんは、永住権を申請する時、アメリカで公に使用する名字を どうするかを旦那と話し合うことになりました。その時、彼は『君が僕の名字に変えても、変えなくても、どっちでもいいよ。無理に僕の名字に変える必要はない。君は自分の名字に愛着もあるだろう。それに、君の日本の名字は、なかなか素敵じゃないか。』と言ったのです。正直言って、『おいおい、こんな大切なことなのに、どっちでもいいって、真剣さに欠けるんじゃないか?』と、不安になりました。しかし彼は、『そこまで重要なことではない』を繰り返すのみでした。

日本は戸籍の関係で、夫婦どちらかの名字を名乗るのが慣例となっていますが、アメリカはこの限りにあらずなのです。

1)女性が旧姓を名乗り続ける
2)夫の名字になる
3)夫が妻の名字になる
4)複合姓になる
5)全く新しい名字になる

と、実に、選択肢が五つもあるのです。夫の名字を名乗る人が圧倒的に多いですが、その他の選択をする人も決して珍しくはないのです。

複合姓と言うのは、自分の名字と相手の名字をハイフンで結び付けた名前です。山田=スミスのような感じです。East meets westな雰囲気が漂っていますね。日本人同士だと、山田=田中のようになります。日本社会で『山田=田中です』なんて自己紹介したら、『どっちが名 字?』と、関西人でなくても突っ込まれそうですね。でも、どちらも立派な公の名字なのです。

前出のA子さんは、結局、複合姓を選びました。理由は、別に旧姓にこだわったからではありません。永住権の申請を手伝ってくれた弁護士のアドバイスでした。彼は多くの顧客の永住権の申 請を手掛けた経験から学んだそうです。曰く、『あなたは過去に、松田(仮名)でアメリカに留学や労働をした記録がある。どちらの名字も公の書類にあると、 何か問題があった時に(勿論、何もないに超したことはないんですが、外国人が外国に住まわせて貰うと言うことは、お役所に何を聞かれても、調べられてもお かしくないと言うことですね)、あなたが松田(仮名)であり、ホワイト(仮名)でもあることが、非常に明確で便利だから』。

余談ですが、素直に弁護士の助言通りにしたA子さんですが、後々少々面倒だなと後悔することになりました。名字を名乗る度に聞き取って貰えず、『はぁ?』と 言われるのは日常茶飯事。病院が特に多いそうです。そして、必ず最後には『今まで接した患者の中で、一番長い名字だ』と言われてしまいます。日本在住時 は、自分のありふれた名字が嫌で、珍名さんに憧れたこともあったA子さん。アメリカで名実ともに珍名になった今、当時の自分は浅はかだったと思わずにはい られません。ただ、唯一の救いは、日本の国籍上は、旧姓のままにしておいたこと。日本の法律では、外国人との婚姻では、名字を変更する必要はないのです (勿論、変更する選択をすることも出来ます)。こうして、図らずともA子さんは日本とアメリカで、公にそれぞれ別の名字を持つことになったのでした。

さて、名字の選択の中でもユニークなのは、全く新しい名字になる、でしょう。第41期のロサンゼルスの市長、アントニオ・ビヤライゴーサ氏(Antonio Villaraigosa)が良い例です。彼の名字は、Villarだったのですが、結婚した時に、奥様の名字Raigosaを合体させて、新しい名字 Villaraigosaを名乗ることにしたのです。なんと斬新的でしょう!日本人同士だと、鈴木さんと高橋さんで、鈴橋さんとかになりますね。もはや、 誰だか分からない状態です。

 

他に、ユダヤ人男性と結婚することになった、あるアメリカ人女性の話。未だに、世界にユダヤ人差別が残っているのに危惧の念を抱いた二人は、ユダヤ人だと一目瞭然の彼の名字の代わりに、女性の祖母の旧姓を名乗ることに決めたのです。その男性にとっ ては、全く所縁もない名字な訳ですから、本人は勿論のこと、男性の両親もよく承諾したなと感心せずにはいられません。

 

日本とアメリカ。文化や伝統が異なるので、どちらの国のやり方が良いかは一概には言えません。また、簡単に答えが出るものでもありません。ただ、アメリカに限って言えば、アメリカで暮らすのであれば、名字を決める時に選択肢が多いのは、便利かも知れません。日本で懸念されている子供が出来た時の問題については、夫婦別性で二人の子供がいるWさんとYさんは、『夫婦別性だからと言って、子供が混乱したり、困ったことは特にない』と、断言しています。でも、それ はきっと、アメリカに多様性を受け入れるバックグラウンドがあるからで、日本のように家族を戸籍で管理をしていないからかも知れません。また、学校や職場 でも名前(first name)で呼び合う機会が多いアメリカには、公の場では名字で呼ばれる日本より、名字に関して柔軟性を持った考えの人が多いのかも知れませんね。

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