【欧米人のブルーアイ事情第2弾】青い目は暗闇でよく見えるって本当？

海外ネタ

2024.03.08 / 最終更新日：2024.03.08

青、緑、茶、ヘーゼル…様々な目の色がありますが、どの色でももの見え方は一緒だと思っていませんか？実は、違うんです。今回は、以前ご紹介した【欧米人のブルーアイ事情】の第2弾です。

疑問を感じたきっかけはあるテレビドラマだった

先日、テレビでThe Walking Deadを観ていたときのことです（The Walking Deadを知らない人のために一応説明しておきますが、世界中で大人気のアメリカのゾンビ・サバイバル系ドラマです）。そのエピソードが夜の設定ということもあり、全編を通してとにかく画面が暗かったのです。当然ながら暗いと見えにくいもの。著者には画面の中で何が起こっているのか時折わかりに辛いと感じました。そこで一緒にドラマを観ていたアメリカ人の旦那に画面の暗さを指摘したところ、『そう？そんなに暗いと思わないけど？』という信じられない返事が返って来ました。

著者の夜目が効かないのか、はたまた旦那は目にナイトスコープが装備された超人なのか…？などど、画像の暗さ・明るさの感じ方の違いに疑問を感じた著者。インターネットで探ってみると、同じように感じた日本人が数多くいることがわかりました。ではなぜ著者の旦那は画面をわれわれ日本人ほど暗いと感じなかったのか？思い当たる理由はひとつありました。それは、彼の目の色です。彼は緑色がかったヘーゼルの目の色の持ち主なのです。

暗所で青い目最強説のわけ

以前、『【欧米人のブルーアイ事情】青い目と黒い目では見え方が異なる？』の中で、青い目は濃い目と比較すると色の見え方が微妙に異なっていることをご紹介しました。今回のことで、『もしかして、色素が薄い目は暗所でのものの見え方が違うのか？』と不思議に思い始めた著者は、真相を探ることにしました。すると、その予想は的中しました。どうやら、色素が薄い目は濃い目よりも暗闇でものや影がより見やすいことがわかったのです。

青や緑などの色素が薄い目は、虹彩にメラニン色素が欠如しています。そのため、太陽光などの光が強い場所においては光を多く取り込み、結果として強い刺激を受け、眩しい（眩し過ぎる）と感じるのです。ところが、暗所においてはメラニン色素の欠如がプラスに働きます。眼球が少量の光を取り入れただけでも、ものが見えやすくなるのです。

この『暗闇で青い目が優勢』の法則は、動物の世界でも発動している例があります。北極圏に生息するあるトナカイの目の色は、夏の間は茶色です。しかし、長く厳しい冬になると、その色は青色に変化します。これは、暗い冬場にトナカイの天敵であるオオカミから身を守るため。青い目の方が暗闇でもオオカミをよく見えるわけです。人間も電気がない大昔は肉食動物に襲われる危険と隣り合わせだったことを考えると、冬の長い北欧諸国の人たちにブルーアイが多いのも納得できますね。すべては環境に応じた進化（変化）だったのです。

みんなにちょうどよい暗さって？

近年の調査では、世界の人口の約55パーセントが茶色い目だとわかっています。色素が薄い目は少数派で、青い目は全体の約8パーセント、ヘーゼルの目は約5から8パーセント、そして緑の目は2パーセントといわれています。アメリカに限っていえば、3人に1人がブルーアイの持ち主です。それを考慮すると、TWDのこのエピソードを観た世界中の大勢の人たちが著者と同じように、『画面が暗くて誰か分かり辛い！見えにくい！』と感じていた可能性がありますね。

アメリカのように多人種で構成されている国では、映画やドラマ、ホラー系ビデオゲームの画面の不気味な雰囲気を演出するための『ちょうどよい暗さ』を決定することは大変骨を折る作業に間違いないでしょう。かつて日本中を震撼させたジャパニーズホラー映画の『リング』や『仄暗い水の底から』も、色素が薄い目の人たちからすると、『そこまで陰鬱な雰囲気ではなかった』と感じるのかもしれません。